『いつかやろう』をやめた理由。お金の不安と向き合って変わったこと
病院で働く中で、私は何度も「人生には限りがある」という現実を見てきました。
その中で少しずつ、自分の中にある違和感に気づくようになりました。
「いつかやろう」
「もう少し落ち着いたら考えよう」
「今は忙しいから、また今度でいい」
そう思って先延ばしにしていることは、実はずっと待ってくれるものではないのかもしれない。
そう感じるようになったのです。
私にとって、その中でも大きかったのがお金の勉強でした。
ちゃんと考えなきゃと思いながらも、どこかで後回しにしていました。
でも今は、お金の不安と向き合うことは、ただ節約したり貯金を増やしたりするためだけではないと思っています。
自分の人生をどう生きたいかを考えるために、必要な準備だったのだと感じています。
「いつかやろう」をやめたいと思った理由
私はずっと、お金の勉強をしなきゃと思っていました。
家計簿をつけたり、貯金をしたり、できる範囲での管理はしていました。
ただそれは、今の生活をどうにか回すためのもの。将来のことや自分の生き方まで、深く考えられていたわけではありません。
本当はもっとお金のことを理解したい。
将来に備えたい。
自分ひとりでも暮らしを守れるようになりたい。
そう思っていたのに、なかなか行動に移せませんでした。
理由は、忙しかったからだけではありません。
お金の不安が大きすぎると、考えること自体が怖くなるのです。
見たくないものを見るような感覚。
何から始めればいいのか分からないし、調べても難しそうに感じる。
だから「いつかやろう」と思いながら、少しずつ先延ばしにしていました。
でも、先延ばしにしている間にも、時間は過ぎていきます。
このままでは後悔することになる。そう気づいたのです。
病院で見た景色が、教えてくれたこと
病院で働いていると、人生の最期に近い時間を過ごす人たちと関わることがありました。
印象に残っているのは、仕事を一生懸命頑張ってきた人が多かった一方で、「自分の人生は楽しかった」と話す人は、思っていたより少なかったことです。
でも、忘れられない人たちもいます。
入院中なのに、ベッドの上でいろんな国への旅行を楽しそうに話してくれた方がいました。「イタリアの食事が一番おいしかった」と、とても満足そうな表情で。苦しい状況の中にいるはずなのに、その顔はどこか穏やかで、楽しかった人生がそのまま滲み出ているようでした。
別の女性は、樹木葬を自分で予約して、その内容を姉に託していました。予後が近い状況でも、表情は明るかった。自分の最期を自分で決めていることが、その人を穏やかにしているように見えました。
高齢者住宅で暮らしていた男性は、施設での日々を笑顔で話してくれました。「ここではこんなこともできるんですよ」と嬉しそうに。最後までとても穏やかな人でした。
その人たちに共通していたのは、お金があるから幸せだった、ということではないと思います。ただ、ある程度の経済的な余裕があったことで、自分らしい選択ができていたのだと感じました。
どこで過ごすのか。
誰と過ごすのか。
どんな最期を迎えたいのか。
そういう場面で、お金の不安が少ないことは、自分と家族を守る力になるのです。
このまま仕事中心の毎日でいいのか、焦りを感じた
私自身も、ふと考えることがありました。
このまま仕事を中心にした生活を続けて、もしある日、命に限りがあると分かったら。
私は自分の人生に納得できるのかな、と。
仕事の日は、通勤も含めると1日のうち10時間ほどを仕事に使っていました。
帰ってからは、家事や準備に追われます。
子どもとの時間も、犬との時間も、大切にしたいと思っているのに、実際には余裕を持って過ごせない日が多くありました。
一緒にいる時間はある。でも、心がそこにちゃんと向いていない。
そんな感覚がありました。
このままでは嫌だ。そう強く思うようになりました。
私が最初に始めたのは、お金の勉強だった
だからといって、すぐに人生を大きく変えられたわけではありません。
最初にしたのは、お金の勉強でした。
家計を見直すこと。
固定費を確認すること。
保険や投資について知ること。
将来にどれくらいお金が必要なのかを考えること。
ひとつひとつは、小さなことです。
でも、お金のことが少しずつ分かるようになると、不安の形が見えてきました。
何が不安なのか。
どれくらい足りないのか。
今できることは何なのか。
見えない不安は、とても大きく感じます。
数字にしてみると、少しだけ冷静に向き合えるようになります。
お金の不安が少し小さくなったとき、初めて先のことを考える余裕が生まれました。
在宅で働けるようになりたい。
自分の力で収入を作れるようになりたい。
犬との時間をもっと大切にしたい。
子どもとの時間に、もっと余裕を持ちたい。
そういう気持ちに、ようやく素直に向き合えるようになったのです。
後悔しない生き方は、今日の小さな見直しから始まる
後悔しない生き方というと、何か大きな決断が必要に思えるかもしれません。
でも、最初からそこまでしなくてもいいと思っています。
まずは、家計を見てみる。
固定費をひとつ確認してみる。
保険の内容を見直してみる。
お金の本を1冊読んでみる。
そんな小さな一歩でも、今の生活を見直すきっかけになります。
私もまだ、すべてが整っているわけではありません。
それでも、お金の不安と少しずつ向き合ったことで、以前よりも自分の人生を考えられるようになりました。
お金は、人生のすべてではありません。
ただ、お金の不安が大きいと、自分の気持ちに気づく余裕さえなくなってしまう。
だからこそ、まずは少しずつ知ること。
見えない不安を、少しだけ見える形にすること。
それが、後悔しない生き方に近づく最初の一歩だと思っています。
もし今、「いつかやろう」と思っていることがあるなら。
そして、それがお金の不安で止まっているなら。
いきなり大きく変わらなくていい。
今日、ひとつだけ考えてみてほしいです。
このまま同じ毎日が続いた先に、私は後悔しないかな。